サッカートレーナー
膝のケガを予防するために重要な神経筋トレーニングとは?
日体協公認AT(サッカートレーナー)、高浜市のひえだ接骨院、 院長の石川です。
前回はFIFAが推奨する予防トレーニングプログラム
「F-MARC 11+」
より体幹トレーニングを主目的とした2つのエクササイズご紹介しました。
続く今回は、膝の安定性を向上させる「神経筋トレーニング」の要素を含んだものを2つご紹介します。
そもそも神経筋とは?
人間の身体には、司令塔となる脳と、実動部隊である身体の各部分の情報のやり取りを行う「神経」が張り巡らされています。
中でも、膝や股関節などの関節や、筋や筋膜などにはその神経の末端となるセンサー(感覚受容器)が存在します。そしてこのセンサーが刺激を受けると、その情報は神経のネットワークを介して脳に伝えられ、脳はその情報をもとに様々な指令を出すことになります。
イメージとしては、セコムの防犯センサーが異常を感知すると、無線を通じて警備会社の司令部に伝わり、警備員が現場へ出動するような感じです。
ですので、もしこのセンサーが過敏に反応したり、逆に反応しなかったり、もしくは警報が正しく警備会社に伝わらない状態になってしまっていると、色々なトラブルを招くことになります。
同様に、サッカーで特に酷使される膝関節周りのセンサーやその情報伝達網が不良な場合、うまく下肢をコントロールできずに膝が不安定となり、ケガをしやすかったり、痛みが取れなかったりするリスクを伴うことになります。
FIFAの推奨する2つの神経筋トレーニング
1. ハムストリング
①膝立ちの姿勢で、上半身を直立させる。両膝と両足は腰の幅に開く。両腕を体の前でクロスさせる。補助者は両手で相手の足首をしっかり地面に固定する。
②上半身と腰をまっすぐ伸ばしたまま、ゆっくりと前に倒れる。太もも、腰、上半身が一直線上にあるようにする。この姿勢をできるだけ長い時間キープする。
③この姿勢をハムストリング(太ももの裏側の筋肉)の力でキープできなくなったら、転ばないように両手をついて行う。
④この動作を5回行う。
■ポイント:腰を曲げない。動作はゆっくりと行う。
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2. クロスカントリースキー
①右脚で立ち、左脚をあげてリラックスさせる。上半身が前傾するように、右膝と腰を少し曲げる。前から見て、右脚の股関節、膝、足が一直線上にあるようにする。
②右脚をできるだけ深く曲げ、両腕を互いに反対方向に同じリズムで振る。体重は足全体で受けてバランスをとる。骨盤と上半身を常に安定させ、顔は前に向ける。
③右脚で15回行い、次に左脚で15回行う。
■ポイント: 骨盤は常に水平にし、片側に傾けない。膝を内側に曲げない。
1日2〜3分でデキル!FIFAの推奨する体幹トレーニングとは?
高浜市のひえだ接骨院、院長の石川です。日本で唯一公認されているスポーツトレーナーの資格「日体協AT」のサッカートレーナーでもあります。
さて、以前の記事で、インテルの長友選手を例に、体幹筋(コア)がなぜ大切なのか?ということをご説明しました。
そこで今回は、その体幹筋の正しい鍛え方についてFIFAが推奨する
「F-MARC 11+」
をもとに2つのトレーニングをご紹介します。
これらの体幹トレーニングは、長友選手はもちろんのこと、育成年代の東海トレセンやアカデミーなどでも必ず行う重要なエクササイズです。
2つ合わせても2~3分程度しかかかりませんが、その障害予防効果やコアの安定効果は科学的に証明されていますので、日々の日課として積極的に取り入れていきましょう。
1. ベンチ (ベンチ スタティック)
①腹ばいになり、上半身を腕で支える。両足は地面に垂直に立てる。
②お腹、腰、膝を持ち上げ、肩から踵までのラインが地面に平行となるようにする。肘は肩の真下に置き、腹筋とお尻に力を入れて引き締める。
③まず右脚を地面から数センチ持ち上げ、その姿勢を15秒間キープする。
④最初の姿勢に戻り、リラックスする。
⑤左脚で同様の動作を行う。両脚で1~2回ずつ行う。
■ポイント:へっぴり腰のように腰を浮かさない。お腹を落とさない。正しい姿勢で行うと5秒程度でもきつく感じます。誤った姿勢で行うと、期待する効果を得られなかったり、半減したりしてしまいます。
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2. 横ベンチ(サンドイッチ スタティック)

①横向きにねて、上半身を下側の腕で支える。肘は肩の真下にくるようにし、腕は地面に着ける。もう片方の腕は腰に手を当ててバランスをとる。 下側の膝を90°曲げる。上から見て、肩、肘、腰、両膝が一直線上にあるようにする。
②上側の脚と股関節を持ち上げ、肩、股関節、上側の脚が地面に対して平行な直線になるようにし、この姿勢を15秒間キープする。
③最初の姿勢に戻り、リラックスする。
④反対向きになり、同様の動作を行う。両側を2回ずつ行う。
■ポイント:腰を落とさない。上側の肩や腰を前に傾けない。姿勢を安定させしっかりキープすることが重要。
動画はこちら>
スポーツに本気で取り組む子供たちを、全力で応援したいから・・・
高浜市のひえだ接骨院、日体協公認アスレチックトレーナー、院長の石川です。
大きな夢に向かって、
スポーツに本気で取り組む子供たち。
そんな子供たちを全力で応援したい。
これが、私がこの道を選んだ理由です。ですが正直言って、これまでは接骨院での一般診療の兼ね合いもあり、自分自身葛藤する部分も多々あったのも事実です。
もちろんこれまでも、怪我に対してはしっかり治療を行ってきました。ですから、普通の病院や接骨院であれば、今の形態でも十分だと思います。
けれど、「本気で上を目指す子供たちを“全力で”サポートする」という意味ではまだまだ不十分でした。
日本のスポーツ界は、トップレベルは世界有数ですが、いわゆる育成年代のスポーツ環境に関しては、まだまだ遅れをとっていることは否めません。
U-17の日本代表に選ばれるような将来有望の選手でさえ、行く先々の病院で違う事を言われ、しかも私からすると明らかに正しくない診断をされ、結局痛みがひかないで悩んでいたりしているのです。
怪我のせいで本来の力を発揮できなかったり、怪我のせいで大切な試合に出れなかったり、怪我のせいで選手生命が脅かされたり・・・。
ですから、せめて自分が携わった子供たちに関しては、こうした事態を避けてあげたい、そう強く思うように至ったのです。
そこで・・・
この度、院内や診療形態を刷新し、より本格的な「スポーツ専門外来」を設けることにしました。
スポーツ専門外来の主な特徴としては、
1. 日本体育協会公認アスレチックトレーナーとしての豊富な知識や経験をもとに、的確な鑑別と最良の治療を行います。
(病院を転々としたり、痛みを引きずったりする事無く、回り道せずに回復できるよう努めます。また、医師による診断が必要な場合は、信頼できるドクターをご紹介します。)
2. 最短でスポーツ復帰を果たすために必要な患部外のトレーニングを、専用ルームで指導します。
(例えばJリーガーが肉離れで2週間戦線離脱したとしても、ただ安静にしている訳ではありません。筋力や心肺機能が落ちてしまうのを防ぐために、トレーナーの指示のもと、できる箇所のトレーニングを続け、徐々に身体を慣らしていくのです。)
3. 再発を防止し、自分の持っている能力をもっと引き出せるよう、体幹筋の強化やバランスの強化、動作フォームの修正指導などを行います。
(身体のどこかに余計な負担をかけていないか、フォームが悪いせいで本来のパワーを出し切れていない箇所はないか?などなど、細かいところまでトータルで見ながら、専用ルームでトレーニングをしていきます。)
これで思う存分スポーツ選手たちのサポートができます!!!
尚、新しい「スポーツ専門外来」の開設に向け、9月14日~28日まで、改装工事のためにお休みとさせて頂きます。その間、患者様にはご不便をおかけいたしますが、ご理解・ご了承のほどよろしくお願いいたします。
「足がつりやすい」サッカー選手の3つの共通点と対策とは?
日本体育協会公認スポーツトレーナー、高浜市のひえだ接骨院、院長の石川です。
練習や試合中にしょっちゅう足がつる選手がいます。
なぜつってしまうのでしょうか?
Game Set and Match!
by FaceMePLS
そもそも「足がつる(こむら返り」と言うのは、ふくらはぎの筋肉が痙攣を起こすことを言います。
足がつりやすい選手の3つの共通点
① 筋肉の柔軟性に欠ける
身体が硬く、運動前のストレッチやウォームアップも不十分。すると、硬く収縮した筋肉により血管が圧迫され、血流が悪くなり、筋肉の痙攣を起こしやすくなります。
② 水分補給が不十分
人間の身体の60~70%は水分だと言われています。そのため、水分や電解質が不足すると、筋肉だけでなく全身に不調が出始めます。
積極的にミネラル分(電解質/イオン)を含んだスポーツドリンクなどを飲むことが非常に大切です。
③ 食生活が乱れている
運動すると筋肉には乳酸菌などの疲労物質が溜まります。不摂生だと、これらの疲労物質が排出されにくいため、運動する前から「筋肉がパンパン」ということもあります。
ですから、日頃から筋肉のエネルギー源となるグリコーゲンを貯めつつ、疲労回復を促すような食生活を行うことが大切です。
足がつってしまった時の対処法
①楽な姿勢で、硬直したふくらはぎの筋肉を“ゆっくり”と伸ばす
②軽いマッサージで筋肉をほぐし、温める
※直後にアイシングやコールドスプレーは逆効果です
③シューズの靴紐や脚に巻いたテーピングがきつい場合はゆるめる
④スポーツドリンクなどの水分を摂取する
※尚、もし足がつったような痛みが数日続くようであれば、痙攣ではなく肉離れの可能性が高いため、早めに専門の医療機関を受診するようにして下さい。
怪我をしたら、しばらく「安静」は間違えだった!?
日本体育協会公認アスレチックトレーナー、高浜市のひえだ接骨院、院長の石川です。
「昨日までの常識は、今日の非常識」
という言葉があります。
戦争を経験された世代の方ですと、しみじみ感じることだと思います。終戦の前と後で社会のルールや価値観が一変したのを実体験として味わっているからです。
ここまで極端な例ではなくとも、医療の世界も日進月歩のため、日々マイナーチェンジが起きています。
その一つが今回お伝えする「安静」です。
kid reporter on the bench
by leafar.
思い出して下さい。
怪我をして病院へ行った時のことを。
「痛みと炎症が治まるまで、4日間位は少なくとも安静にしておいて下さい」
そんな風にお医者さんに言われたことが無いでしょうか?
そもそも安静はなぜ大事なのか?
①怪我をした患部に余計な負担をかけずにすむ>
②患部に十分な血液が流れることで、酸素や栄養素が届き、痛みの物質も排出されやすくなる(その結果、損傷した組織の修復が早まる)
という理由があるからです。
ですが、近年行われた数々の臨床研究の結果、
「しばらく安静にしているよりも、できる範囲で日常生活を続けた方が、回復が早い」
ということが分かってきたのです。
(参照:「腰痛診療ガイドライン2012」日本整形外科学会 監修)
これは、安静にしていることで、筋力や心肺機能が衰えてしまうことが原因だと考えられます。その結果、動き続けた場合よりも血液循環が弱まり、回復が遅くなってしまうのです。
そしてこれは、スポーツ復帰の現場では特に大切なポイントとなります。筋肉を使わない状態を続けると、筋力は1日に約1%も低下してしまうからです。
ただし、
・どこまで動いていいのか?
・どんなトレーニングをすれば良いのか?
・いつ完全復帰して良いのか?
などが分からないと、症状が悪化してしまったり、癖になってしまったりしかねません。
ですから、スポーツドクターやアスレチックトレーナーなどの専門家を訪ね、この辺についてアドバイスをもらいながらリハビリを行うようにしましょう。