サッカートレーナー
本田選手や長友選手も悩まされた半月板損傷
愛知県高浜市のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
2011年には「本田離脱!半月板損傷でW杯予選年内5戦欠場も」という記事が話題となり、
その翌年には「長友W杯予選絶望 左膝半月板損傷、手術避けられず」などの記事がスポーツ新聞で掲載されていたように、
膝の半月板損傷はサッカー選手に多いケガの一つです。
本田
by tpower1978
半月板損傷の原因
そもそも半月板とは膝関節の衝撃を和らげ、膝を安定させるクッションの役割を担う軟骨組織です。膝は体重の負荷が一番かかる箇所であり、片足立ちの場合、体重の10倍程の負荷がかかるとも言われています。
サッカー選手の場合は、ジャンプの着地時やキックする際の軸足に相手が接触するなどで膝をひねってしまい、半月板がこすれて損傷・断裂することが多くあります。
損傷が大きい場合は膝の激痛だけでなく、脚を曲げ伸ばし出来ず歩けなくなったり、慢性化すると膝に水や血が溜まったりすることがあります。
半月板の治療
ケガの直後はRICE処置を行い、その後すぐに整形外科で診断を受けましょう。軽症であれば、テーピングなどで固定しながら安静にすることが基本となります。
また、痛みを緩和させるために電気治療を行なったり、筋力が衰えないようできる範囲でのリハビリを行なったりします。
一方、重症であれば手術となり、復帰までに数ヶ月はかかるようになります。さらに、復帰タイミングの判断は難しいため、本田選手や長友選手のように再発してしまうこともあります。
ケガにより戦線離脱することは確かに辛いことです。ですが見方を変え、粘り強くリハビリを行なえば、『ACミラン』への移籍を叶えた本田選手のように、ピンチをチャンスに変えることもできます。
2013年3月に放送されたテレビ番組での本田圭佑選手の言葉。
「ケガしたことは残念ですけど、もうしょうがないですし。ケガして思ったのはオレ、チャンスやなと。」
「人って誰しもがうまくいかなかったときに、ちょっと自分を疑うと思うんですね。そのときにいかに自分を信じることができるか。信じるっていうのは本当に希望そのものなんですよね。」
「自分が絶対に成功するんだっていうことをね、自分に言い聞かせながら自分の力を信じるってことですかね。そしたら必ず神様はね、それを見ているし、神様からのビッグサプライズを期待してがんばるだけですよ。」
中学生のサッカー選手に多い膝の痛み、オスグッド・成長痛
愛知県のサッカートレーナー、日体協公認アスレチックトレーナーの石川です。
あなたも「オスグッド」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この症状は、10~15才の成長期の男子(小学生高学年~中学生頃)に多いスポーツ障害です。
特に、キックやジャンプ、ダッシュといった膝に負担のかかる動作を繰り返し行なうサッカー選手に多く発症します。
成長期の子どもで、膝の皿の下にある出っ張り(骨)を押すと痛い、スクワットをすると痛む、といった場合はオスグッドの可能性があります。
オスグッド
by Brian O’Donovan
オスグッドの原因
成長期には、文字通り急激に身長が伸び、それを支える骨も伸びますが、残念ながら筋や腱は同様には成長しません。その結果、太ももの前面にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が固くなりがちになり、この筋肉と繋がる膝の下の骨や軟骨も強く引っ張られやすくなります。
こうした状態のまま、キックやダッシュなどを繰り返すことで、膝に過度の負担がかかり、膝のお皿の下の骨が突き出してきたり、痛みを生じたりしてしまうのです。
オスグッドの対処法と予防法
応急処置の基本はRICE処置です。ですから、まずは安静にし、冷やすことが最優先です。その後も痛みが強い場合には、整形外科で痛み止めの湿布や薬をもらったり、接骨院で超音波や低周波などの物理療法を行なったりすることも有効です。
オスグットは成長期の一過性の病気であるため、通常はしばらく安静にしていれば自然と治癒します。
ですがこの時に「我慢できる程度の痛みだから」といってそのままプレーを続けてしまったり、「練習前後にしか痛みが出ないから」といって練習を続けてしまう子どもがしばしば見受けられます。
けれど、早期に安静にしないと回復が遅れるばかりか、再発や後遺症の元となってしまい、結局は子どもの将来のためになりません。ですから、家族やコーチが一体となって「なぜ今休む必要があるのか」を子どもに理解させ、膝に負担のかからないトレーニングへと切り替えることも大切になります。
また、オスグッドの予防法としては、以下のような対策があげられます。
・身体が回復するために必要な、十分な休息と栄養を取る
・大腿四頭筋のストレッチなどにより、筋肉や関節の柔軟性を高める
・練習前後のストレッチやウォームアップ、クールダウンを怠らない
・フォームの悪さや筋力バランスの乱れを整え、大腿四頭筋に負担がかからないようにする
・練習後に膝をアイシングする。
サッカー中の膝のケガの種類と治療法
日体協公認ATのサッカートレーナー、愛知県高浜市の石川です。
前回は膝の痛みの中でも、繰り返し動作によって起こるスポーツ障害についてご説明しました。続く今回は、突発的な事故による膝のケガ、スポーツ外傷についてです。
膝のケガ
by The Bay Area Bias
サッカー選手によくある膝周りのケガとしては、
・膝をひねったせいで痛みや腫れ、膝の曲げ伸ばしができなくなる「半月板損傷(はんげつばんそんしょう)」
・相手とインサイドで蹴り合った時などに起こりやすい「側副靭帯損傷(そくふくじんたいそんしょう)」
・ジャンプの着地時に膝を内側にひねるなどして発症しやすい「前十字靭帯損傷(ぜんじゅうじじんたいそんしょう)」
などがあげられます。
膝のケガの予防法
こうしたスポーツ外傷は突発的な事故なので、それ自体を回避することは困難です。
ですが、スポーツ障害同様、筋肉や関節の柔軟性を高めたり、疲労を溜めなかったりすることで、ケガをする確率を減らすことは可能です。
また、ケガの少ないプロスポーツ選手は、インナーマッスル(深層筋)が強い、とも言われています。
膝のケガの治療法
では、実際にケガをしてしまったら、どうすれば良いのでしょう?
ケガをした現場での応急処置の基本は、RICE処置と呼ばれる「Rest(安静)」「Ice(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」です。
ケガをした直後は、膝が腫れ上がったり熱を帯びたりして激しい痛みを伴いながら、急性の炎症が広まっていきます。そのため、すぐに膝に負担がかからない状態で休ませ、氷などで患部を冷やすことが重要です。こうした処置が早ければ早いほど、症状の悪化も抑えられますし、その後の回復も早めることができます。
また、痛みや違和感が続く場合は、自己判断せずに早めに整形外科で診断を受け、接骨院などを併用しながら、治療とリハビリに専念するようにしましょう。
さらに、膝の痛みにより通常の練習ができない時であっても、単に見学しているだけでなく、上半身の筋トレや心肺機能の強化等、できるトレーニングを行なうことで、早期復帰を実現したり、今までにないプレースタイルを身につけられるなど、ピンチをチャンスに変えることができます。
サッカー選手の宿命「膝の痛み」の種類と予防法
愛知県のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
ご存知のように、サッカーというスポーツは相手との接触が多く、下半身を酷使します。走る、跳ぶ、急停止する、方向転換する等、膝に大きな負担をかけます。
その結果、サッカー選手に最も多く頻発し、重大な怪我になりやすいのが「膝のケガ」です。
膝の痛み
by J.J. Verhoef
膝のケガの原因と種類
膝のケガは、原因により大きく2つに分けられます。
一つ目は、膝の使いすぎによって起こる障害です(スポーツ障害)。
二つ目は、突発的な事故によって起こる怪我です(スポーツ外傷)。
今回はまず、スポーツ障害の概要についてご説明します。サッカー選手がなりやすい膝のスポーツ障害としては、
・ランニングを頻繁に行なう人で発症しやすい膝の外側の痛み「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん:ランナー膝)」
・キックやダッシュ、ジャンプを繰り返すことで膝の皿の下が痛み出す「膝蓋腱炎(しつがいけんえん:ジャンパー膝)」
・10~15才の成長期に発症しやすく膝の下の骨が突き出て痛む「オスグッド病」
等があります。
こうしたスポーツ障害はある種「スポーツ選手の宿命」でもありますが、日頃からの十分な身体のケアを行なうことで、予防することが可能となってきます。
スポーツ障害を予防するための9つのケア
1. 練習前に必ずウォーミングアップやストレッチを行い、筋肉や関節を軟らかくする
2. 練習後も必ずクールダウンやストレッチを行い、疲労物質を溜めないようにする
3. 筋肉や関節、腱への負担が少ない、正しいフォームで運動する
4. 太ももの前面の筋肉(大腿四頭筋)や膝周りの筋肉を強化して、膝関節への負担を減らす
5. 適度に休息をとり、筋肉がいわゆる「超回復」する期間を作る
6. 身体の回復に不可欠な、十分な食事とバランスの良い栄養を摂る
7. 足の形状や角度にあったシューズを選び、身体への負担を減らす
8. 成長期は無理をせずに、フィジカルトレーニングよりもテクニック系の練習に重きを置く
9. 上記の全てについての必要性や知識・理解を深める
また、もし膝に痛みを感じたら、自己判断せずに早めに医療機関を受診することで、症状の悪化を防ぎ、早期に復帰できるようになります。
スポーツトレーナーの種類と仕事とは?
愛知県高浜市のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
スポーツ界における日本人の活躍は目覚しいものがあります。2012年のロンドンオリンピックでも、女子サッカーは銀メダル、男子も4位入賞を果たしたことはまだ記憶に新しいのではないでしょうか?
また、ソチ冬季オリンピックが来年2月と迫っており、さらには6月のサッカーワールドカップと続きます。選手の皆さんの活躍を期待するのは、僕だけではないでしょう。
実は、そんな選手の活躍の裏では様々な方の支えがあります。その中の一つが、スポーツトレーナーの存在です。スポーツで身体を傷めた人に対する応急処置やリハビリ、トレーニング指導、コンディショニング管理などをしています。
サッカートレーナー
by Roubicek
スポーツトレーナーの主な種類
スポーツトレーナーの中には大きく3種類の人がいます。
1つ目は、柔道整復師や鍼灸師などの国家資格を取得した治療家です。接骨院や鍼灸院を開業したり、実際にケガの治療を行なったりすることができます。
2つ目は、アスレチックトレーナー(略称:AT)やメディカルトレーナー、フィットネストレーナーなどの各団体の資格取得者です。中でもチームや選手たちと一緒に帯同して、現場で活動を行なうのはアスレチックトレーナーです。
そして3つ目は、治療家でありアスレチックトレーナーでもある方で、プロチームや一流選手に帯同しているの方の大半は、こうしたプロフェッショナルたちです。
日体協公認ATと他の資格との大きな違い
現在日本のスポーツトレーナーの資格は、国家資格のように統一された規格がないため、各団体によりその基準はまちまちです。そのため中には学校へ数年通えば誰でも資格を取得できるものもあります。
一方、日本体育協会認定のAT は非常に狭き門であり、日本で最も権威のあるスポーツトレーナーの資格です。
以前は5年がかりで取得する必要がありましたし、現在も地域の体育関連団体の推薦を得て、トレーナー実績を十分積んでいたとしても、認められないことがしばしばあります。
事実、2011年時点でATの登録者数は日本で3番目に多い愛知県でも60名程度しかいません。
また、ATとなる過程で、その分野の日本のトップの先生方などから直接教えを乞う機会を得られるため、一般のトレーナーでは知り得ないような専門的な知識を有していることもATの強みです。