年別アーカイブ:2014年
キネシオテーピングと固定用の違い・効果・使い方
愛知・高浜のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
以前は、テーピングと言ったら固定用のものでした。ですが今は違います。
その一つが、1980年に日本人の加瀬D.C. が開発したキネシオテーピングです。今では世界各国、トップアスリートたちも活用しています。
ですが、そもそもキネシオテープとは何なのか?固定用と何が違うのかを理解して正しく使っている人はそう多くないように見えます。
キネシオテーピング
by RLHyde
キネシオテーピングとは?
従来の固定用テープと異なり、手首や足首などの患部に巻いて固定するためのものではありません。
筋肉(皮フ)の伸縮率(30~40%)と同程度に作られた伸び縮みするテープを、痛みを発したりコリを生じたりしている筋肉に沿って貼ることで、こうした症状の軽減を図っていくのです。
ケガにより伸び / 縮み過ぎてしまった筋肉に対して、あるいは筋肉の活動が過剰 / 不足している箇所に対してキネシオテープを貼ることで、筋肉を正常な状態へと導き、血液やリンパの流れを改善します。
その結果、患部に溜まった痛みの物質などがスムーズに排出され、また酸素や栄養素を多く含んだ血液が正常に運ばれてくることで、新陳代謝も活性化され、痛みやコリ、内出血などがより早く改善されやすくなるのです。
また、運動前にキネシオテープを貼っておくことで、疲労物質の蓄積を防いだり、障害の予防を図ったりすることができます。
キネシオテーピングは本当に効果的か?
プロの間では、テーピングに関しては賛否両論ありますが、あなたにとってテーピングが合うのであれば、私は有効活用すべきだと考えます。
例えば、キネシオテーピングをすることで、痛みが抑えられたり、不安感が減ったり、運動ができるようになるのであれば、スポーツ復帰を早めるためにも活用すべきです。
もちろん、ケガが回復していない絶対安静期は除きますが、キネシオテーピングを使うことで、使わない時よりも早期にリハビリ的な運動を開始できれば、その分早く復帰できる可能性が高まるからです。
ただし、キネシオテーピングを利用するにしても、この運動再開タイミングの判断はプロでも難しいものですので、素人判断では行なわず、必ず医師や専門家の指示を仰ぐようにしましょう。
焦るあまり完治せずに復帰してしまうことで、ケガが癖になってしまったり、痛みのひかない後遺症が残ってしまったりすることがよくあるからです。
サッカー歴が長く、足首が痛くて伸ばせない方へ
高浜・三河のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
プロサッカー選手や長年サッカーを続けている人に多い足首の障害があります。「フットボーラーズアンクル(衝突性外骨腫)」と呼ばれる疾患です。
痛みや腫れで足首を伸ばせなかったり、可動域が制限されたり、常に足首に不安定感を覚えたりするような症状が出ます。
フットボーラーズアンクル
by Steve Burt
フットボーラーズアンクルの原因
キックやジャンプ、ダッシュなどで過度に足首を伸ばすことが多いと、足首周辺の骨がぶつかり合い、擦れ合って骨や軟骨が損傷してしまうことがあります。
すると、身体はその損傷を修復しようとするのですが、その働きが過剰だと、本来ないはずの「骨棘(こつきょく)」と呼ばれるトゲができてしまいます。
その結果、トゲが骨とぶつかりあって、痛みや腫れなどを招くのです。
またこのフットボーラーズアンクルは、足首の捻挫により足関節が不安定になった選手において、より多く発症することもわかっています。
フットボーラーズアンクルの対処法と予防法
痛みや腫れが出始めた急性期には、患部の固定やアイシングなどのRICE処置を行ないます。
その後、接骨院などで、TENS治療や低周波治療などを行なうと、早期に症状の改善を図ることができます。
また、それでも症状が改善しない時は、内視鏡による治療や手術によってトゲを除去する方法もあります。
予防法としては、前回の足関節捻挫の予防法に加え、
・足首の安定性に重要な役割を担う、すね周りの筋力の強化
・ストレッチなどで足首の柔軟性を高め、可動域を広げる
・バランスディスクやバランスボードなどを活用した、安定性の向上
などが挙げられます。
サッカー選手が癖になりやすい足首痛の症状と対処法
愛知県高浜市のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
スポーツにおいて最も多発するケガ、それが足関節捻挫(靭帯損傷)です。
特にサッカーの場合は、走る・蹴るという運動が主な事から、一旦足首を捻挫してしまうとプレーができなくなるか、できたとしても大幅にパフォーマンスが低下する可能性が高くなります。
サッカーの足首のケガ
by joncandy
足首捻挫の原因
ケガの原因としては、ジャンプの着地時にひねったり(これが最も重症)、ドリブルやランニング中の接触プレーなどでつまずいたりし、足首の靭帯を損傷することが多いです。その多くは足首を内側にひねるため、足の外側の靭帯が損傷しやすくなります。
足首捻挫の症状と重症度
軽症であれば足首を軽くひねった程度の腫れや痛みのため、練習や試合中は神経が高ぶり痛みを感じなかったり、翌日になってから痛みを発する程度となります。
また、中等度の症状になると痛みが強いため、すぐに自ら練習や試合から外れようとします。
そして、完全に靭帯が断裂してしまっているような重症のケースだと、強い痛みと広範囲に及ぶ腫れや内出血により、その場でうずくまったまま自分では歩けないことが多くなります。
足首捻挫の対処法
ケガをした直後は、4つの基本処置を行います。
・足首を固定し安静にする
・腫れや炎症を抑える為に氷等で冷やす
・テーピングや包帯等で足首を圧迫する
・横になって足首を心臓より高い位置に起き、腫れと内出血を抑える
軽症の場合は当日から数日で治癒しますが、中等度では2~3週間、重症の場合は1~2ヶ月かかることもあります。中には、靭帯再建手術が必要となる場合もあります。
痛みがひかないときは、医療機関を受診することはもちろん、サポーターやテーピングなどで足首をしっかりと固定し、患部に負担をかける運動は控えて安静にする事が重要です。
また、復帰するタイミングが早いと再発する可能性が高くなりますので、必ず専門家に相談した上で、徐々に負荷をかけて試しながら判断するようにしましょう。
ここで充分な時間をかけた治療やリハビリを行わないと、再発だけでなく、痛みのひかない後遺症を抱えてしまう場合もあるため注意しましょう。
尚、予防法としては下記のようなことが考えられます。
・ストレッチなどで足首やアキレス腱の柔軟性を高める
・十分なクールダウン、休息、栄養をとり、足首に疲労を溜めない
・自分の足にフィットしたトレーニングシューズやスパイクを使う
・足底板を活用し、足や足首への負担を軽減する
・足首に違和感を感じたら、早めにテーピングなどで固定するようにする
本田選手や長友選手も悩まされた半月板損傷
愛知県高浜市のサッカートレーナー、日体協公認ATの石川です。
2011年には「本田離脱!半月板損傷でW杯予選年内5戦欠場も」という記事が話題となり、
その翌年には「長友W杯予選絶望 左膝半月板損傷、手術避けられず」などの記事がスポーツ新聞で掲載されていたように、
膝の半月板損傷はサッカー選手に多いケガの一つです。
本田
by tpower1978
半月板損傷の原因
そもそも半月板とは膝関節の衝撃を和らげ、膝を安定させるクッションの役割を担う軟骨組織です。膝は体重の負荷が一番かかる箇所であり、片足立ちの場合、体重の10倍程の負荷がかかるとも言われています。
サッカー選手の場合は、ジャンプの着地時やキックする際の軸足に相手が接触するなどで膝をひねってしまい、半月板がこすれて損傷・断裂することが多くあります。
損傷が大きい場合は膝の激痛だけでなく、脚を曲げ伸ばし出来ず歩けなくなったり、慢性化すると膝に水や血が溜まったりすることがあります。
半月板の治療
ケガの直後はRICE処置を行い、その後すぐに整形外科で診断を受けましょう。軽症であれば、テーピングなどで固定しながら安静にすることが基本となります。
また、痛みを緩和させるために電気治療を行なったり、筋力が衰えないようできる範囲でのリハビリを行なったりします。
一方、重症であれば手術となり、復帰までに数ヶ月はかかるようになります。さらに、復帰タイミングの判断は難しいため、本田選手や長友選手のように再発してしまうこともあります。
ケガにより戦線離脱することは確かに辛いことです。ですが見方を変え、粘り強くリハビリを行なえば、『ACミラン』への移籍を叶えた本田選手のように、ピンチをチャンスに変えることもできます。
2013年3月に放送されたテレビ番組での本田圭佑選手の言葉。
「ケガしたことは残念ですけど、もうしょうがないですし。ケガして思ったのはオレ、チャンスやなと。」
「人って誰しもがうまくいかなかったときに、ちょっと自分を疑うと思うんですね。そのときにいかに自分を信じることができるか。信じるっていうのは本当に希望そのものなんですよね。」
「自分が絶対に成功するんだっていうことをね、自分に言い聞かせながら自分の力を信じるってことですかね。そしたら必ず神様はね、それを見ているし、神様からのビッグサプライズを期待してがんばるだけですよ。」
中学生のサッカー選手に多い膝の痛み、オスグッド・成長痛
愛知県のサッカートレーナー、日体協公認アスレチックトレーナーの石川です。
あなたも「オスグッド」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この症状は、10~15才の成長期の男子(小学生高学年~中学生頃)に多いスポーツ障害です。
特に、キックやジャンプ、ダッシュといった膝に負担のかかる動作を繰り返し行なうサッカー選手に多く発症します。
成長期の子どもで、膝の皿の下にある出っ張り(骨)を押すと痛い、スクワットをすると痛む、といった場合はオスグッドの可能性があります。
オスグッド
by Brian O’Donovan
オスグッドの原因
成長期には、文字通り急激に身長が伸び、それを支える骨も伸びますが、残念ながら筋や腱は同様には成長しません。その結果、太ももの前面にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が固くなりがちになり、この筋肉と繋がる膝の下の骨や軟骨も強く引っ張られやすくなります。
こうした状態のまま、キックやダッシュなどを繰り返すことで、膝に過度の負担がかかり、膝のお皿の下の骨が突き出してきたり、痛みを生じたりしてしまうのです。
オスグッドの対処法と予防法
応急処置の基本はRICE処置です。ですから、まずは安静にし、冷やすことが最優先です。その後も痛みが強い場合には、整形外科で痛み止めの湿布や薬をもらったり、接骨院で超音波や低周波などの物理療法を行なったりすることも有効です。
オスグットは成長期の一過性の病気であるため、通常はしばらく安静にしていれば自然と治癒します。
ですがこの時に「我慢できる程度の痛みだから」といってそのままプレーを続けてしまったり、「練習前後にしか痛みが出ないから」といって練習を続けてしまう子どもがしばしば見受けられます。
けれど、早期に安静にしないと回復が遅れるばかりか、再発や後遺症の元となってしまい、結局は子どもの将来のためになりません。ですから、家族やコーチが一体となって「なぜ今休む必要があるのか」を子どもに理解させ、膝に負担のかからないトレーニングへと切り替えることも大切になります。
また、オスグッドの予防法としては、以下のような対策があげられます。
・身体が回復するために必要な、十分な休息と栄養を取る
・大腿四頭筋のストレッチなどにより、筋肉や関節の柔軟性を高める
・練習前後のストレッチやウォームアップ、クールダウンを怠らない
・フォームの悪さや筋力バランスの乱れを整え、大腿四頭筋に負担がかからないようにする
・練習後に膝をアイシングする。