月別アーカイブ:2014年03月
リトルなでしこを支えたスポーツトレーナーとは?
高浜市のひえだ接骨院 院長、柔道整復師、日体協公認スポーツトレーナーの石川です。
6戦全勝でU-17女子W杯の世界一に輝いた「リトルなでしこ」たち。
この快挙の原動力は、高倉麻子監督も記者会見で述べられていたように、選手たち自身の努力はもちろんのこと、これまで選手たちの育成に携わってきた方々、全員の力によるものが大きいでしょう。
そのお一人として挙げられるのが、今回リトルなでしこのトレーナーを務めた佐瀬由紀子さんです。
佐瀬トレーナーとは?
幼少期よりバスケットボールを始め、選手時代は日本リーグ1部で3位の成績を残した実績を持つバスケ出身のトレーナーです。はり師、きゅう師、あん摩マッサージ指圧師の国家資格だけでなく、日体協公認アスレティックトレーナーでもあります。
これまでも、ソフトボール女子日本代表やバスケットボールのU-16日本女子代表、Vプレミアリーグのバレーボールチーム、プロスノーボーダーのパーソナルトレーナーなど、数々の指導実績を持っていらっしゃいます。
実は佐瀬トレーナー、小さい頃はサッカーをやりたかったそうで、選手ではないにしろサッカーに携わり世界一の座に輝いたことは、トレーナー冥利に尽きることでしょう。
リトルなでしこのフィジカルトレーニングとは?
では、そんな佐瀬トレーナーはいったいどのような体幹トレーニングを行ったのでしょうか?
キャプテンを務めた杉田妃和選手はこう言います。
「毎日やってキツかったです。けれど、大会中に大きなケガをする選手が一人もいなくて、よかったと思います。私自身も、コンタクトプレーの時などで効果を実感しています。」
組織的なプレーやチームワークの強さばかりが注目を浴びていますが、それらを支える土台となる身体作りあってこその優勝であったことは言うまでもありませんね。
ヒディング監督の右腕が教える勝ち続けるための身体の作り方
高浜市の接骨院 院長、日体協公認ATのサッカートレーナー、石川です。
今年のW杯ブラジル大会終了後に、あの名将ヒディング監督が再びオランダ代表監督に就任するそうです ヒディング監督と言えば、
by InSapphoWeTrust
1998年 オランダ代表監督としてフランスW杯で4位入賞
2002年 韓国代表監督として日韓W杯で4位入賞
2008年 ロシア代表監督としてEUROでベスト4進出
と、主な戦績だけを挙げてもその智将ぶりは誰もが感じるところではないでしょうか?
そして、そんなヒディング監督の右腕として活躍していたのが、コンディショニングコーチのレイモンド・フェルハイエン氏です。
従来の日本式トレーニングは誤っていた!?
例えばこれまで日本では、サッカーに必要な持久力をつける、という名目で10km、20kmを走り込む持久走トレーニングをしてきました。
同様に、1日2回の練習や、週に6回の練習など、トレーニングの「量」によって身体を強化しようとしてきました。
ですが、こうした日本式のトレーニングは誤りである、とレイモンド氏は警告します。
一定のスピードで走り続ける持久走方式では、サッカーに必要な爆発的な筋力・速筋が鍛えられず、逆に遅筋が必要以上についてしまいかねないからです。
また、トレーニング量が多過ぎると、疲労を回復できずにケガをしやすくなるばかりか、100%の力を発揮できない状態でのトレーニングとなってしまうため、過負荷をかけてさらに上のレベルへと身体を向上させることが難しいからです。
最後までプレーのスピードや質が落ちなくなる!? レイモンド式トレーニングとは?
サッカーの場合、マラソンのような持久力ではなく、爆発的で質の高いプレーを試合終了まで何度も繰り返しできる力が必要とされます。そのため、より短時間で回復できる身体を作ることが重要となります。
では、どうすればそんな身体を作ることができるのでしょうか?
1. トレーニングの量や回数ではなく、強度やスピードを上げる
2. 過負荷をかける
3. しっかりと回復のための休息を取る
これらを計画的に行なうことが非常に大切です。より具体的なトレーニング方法などについては、こちらをご参照下さい>
なでしこのフィジカルコーチが教える日本人サッカー選手が世界で活躍するために必要な能力とは?
高浜市の接骨院 院長であり、愛知のサッカートレーナー(日体協AT)でもある石川です。
なでしこの選手たちがなぜ体格に勝る世界の強豪たちを相手に、輝かしい結果を勝ち取ることができているのか。その要因として、正確な技術、予測力と予備動作、ぶれない安定力がある、というお話を前回しました。
加えて今回は、体力測定の結果から具体的に何がどう海外の選手たちと違うのか、という点を早大の広瀬准教授のレポートからご紹介します。
by mole555
4. 最後まで走り切れる持久力
サッカーでは1試合につき10km以上走る持久力が要求されます。しかも単に一定速度で10km走り切るのではなく、急激なダッシュとダウンの繰り返しであり、ダッシュ時にスピードが落ちないことが求められます。
■ なでしこ選手と海外選手の結果
なでしこの選手たちは高い強度の運度を繰り返すスピード持久力は課題であるものの、試合終了まで走り切る基礎的な持久力は高いことがわかります。
5. 相手を翻弄するアジリティー(俊敏性)
なでしこジャパンの選手たちと、国内の各年代の代表選手たちを比較すると、10m×5本のアジリティーと呼ばれるカテゴリーで顕著な差が見られることがわかりました。
実はこのアジリティーの高さが、世界で戦う日本人選手の大きな武器だと言われています。
スピードの急激な緩急や切り返し時の安定性を武器に、DFを手玉にとるマンUの香川選手や、後方から一気に駆け上がり相手選手を置き去りにするインテルの長友選手など、女子選手だけでなく男子選手においても、日本人選手のストロングポイントなのです。
将来、世界で活躍するサッカー選手を目指している方は、是非これらを参考にトレーニングしていくと良いでしょう。
なでしこのフィジカルコーチが教える「なでしこジャパンの強さの秘密」とは?
高浜市の接骨院 院長、日体協公認ATのサッカートレーナー、石川です。
なでしこジャパンと言えば、近年の大活躍には目を見張るものがありますよね
・2011年 ワールドカップドイツ大会 優勝
・2011年 FIFA女子年間最優秀監督賞(佐々木監督)、最優秀選手賞(澤選手)受賞
・2012年 ロンドンオリンピック 銀メダル
最たる主なものだけでもこれほど輝かしい成績を残していることは、記憶に新しいでしょう
by mole555
そんな「なでしこジャパン」の活躍をサポートしている方の一人が、フィジカルコーチを務められている、早稲田の広瀬統一准教授です。
日本人は白人や黒人に比べて体格に劣っているため、パワープレーで戦っても勝ち目はありません。また、南米人や黒人のような独特のリズムによるドリブル力も持ち合わせていません。ではどうやってその不利な状況を覆してきたのでしょうか?
なでしこジャパンの強さの秘密、5つの要因とは?
一言で表すと「速いパスサッカー」です。ですが、その言葉の裏には様々な要素が隠れています。今回はその一部をご紹介します。
1. 正確な技術
なでしこの特徴的なプレーの一つがワンタッチプレーです。当然ですが、ダイレクトでパスをつなぐ為には正確なキックが必要不可欠です。特に女子は筋力が弱い分、しっかりと足の芯でボールを捉えなければ、ロングキックや速いシュートも難しくなります。
2. 予測力と予備動作
同様に、なでしこのパスワークは短い距離でスピーディーにテンポ良く行なわれます。長い浮き球だと体格で負ける海外の選手に奪われやすいからです。その分、選手はお互いに次のプレーのイメージを共有し、事前に相手選手との駆け引きで抜け出す必要があります。
3. ぶれない安定力
パスサッカーと言えども、球際ではフィジカルコンタクトが避けられません。そんな場合でも、重心を支える腰回りや体幹の筋力を鍛え、腰を落として背筋を伸ばした安定姿勢を取れれば、大きな選手にも負けません。
そして、あと2つ。続きは次回。
ケガを3割減らし、パフォーマンスUPもできるFIFA推奨の「The11+(イレブンプラス)」とは
高浜市の接骨院 院長であり、愛知のサッカートレーナー(日体協AT)でもある石川です。
FIFA傘下のF-MARCと呼ばれる組織が作成した「The11+(イレブンプラス)」と呼ばれるケガの予防プログラムがあります。
by Albumen
育成年代の日本人サッカー選手男女484名を対象とした研究によると、The11+を導入後、筋肉痛や非接触型の足関節捻挫を始めとした下肢の傷害発生率が約29%減少された という報告がなされています。(詳しくはこちら>)
さらにケガの予防だけではなく、The11+を6ヶ月間週に1-2回行なった結果、ターンのスピードやバランス能力も有意に向上していた とする報告も出ています。(詳しくはこちら>)
それほど効果の期待される「The11+」とは何なのでしょうか?
FIFAが推奨する「The11+(イレブンプラス)」とは?
サッカー選手のために作られたケガの予防プログラムで、特別な器具などを使わずに身体の強化をできるシンプルなトレーニングメソッドです。
以下のような3つのパートで構成されています。
1. ウォーミングアップと柔軟性の向上
2. レベルごとの筋力や瞬発力、バランス力の強化
3. スピードや機敏性などの強化
具体的なトレーニング方法については、日本サッカー協会のホームページに動画などで掲載されていますので、そちらをご覧下さい
もちろん私も帯同しているトレセンなどでは行なっていますが、まだまだ地域の学校やクラブチームレベルでは導入されていないところも多いと思います。
ですが、ケガの予防と同時に、パフォーマンスの向上も見込めるため、たとえチーム単位での導入が難しかったとしても、個人レベルで積極的に日々のトレーニングに組み込んでいくことをお勧めします